東根市立大富中学校いじめ防止基本方針

 

 

 Ⅹ 東根市立大富中学校いじめ防止基本方針

 

 

 1 はじめに

 

   いじめは、いじめを受けた児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、不登校や自殺などその生命または身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものである。

   国立教育政策所生徒指導・進路指導研究センターの平成25年7月の調査研究「生徒指導支援資料4 いじめと向き合う」によれば、いじめには、暴力を伴う目に見えやすいものと暴力を伴わない目に見えにくいものがあることが分かってきた。特に後者は目に見えにくいだけに発見も指導も難しいとされている。さらに電子機器の介在により、その傾向はさらに強くなっている。この後者のいじめこそ、どの子供にも起こりうる、どの子供も被害者にも加害者にもなりうるばかりか、目に見えない形で深刻な事態にエスカレートするいじめである。

   本基本方針は、いじめ問題の克服に向けて取り組むよう定められたいじめ防止対策推進法の第13条1項の規定に基づき、児童生徒の尊厳を保持することを目的に、国・県・市・学校・地域住民・家庭・その他の機関及び関係者との連携の下、いじめの防止等(未然防止、早期発見、早期対応・組織的対応等)のための対策を実効あるものとするために策定するものである。

 

 

2 いじめの問題に関する基本的な考え方

 

(1)用語の定義

 「いじめ」とは、児童生徒に対して、一定の人間関係のある他の児童生徒が行う心理的物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。 ※以下4つの要素が含まれているもののみ。

① 行為をしたもの(A)も行為の対象になったもの(B)も児童生徒であること

② (A)と(B)の間に一定の人間関係が存在すること

③ (A)が(B)に対して心理的または物理的な影響を与える行為をしたこと

④ 該当行為の対象となった(B)が、心身の苦痛を感じていること

 

<いじめの態様>

①冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる。

②仲間外れ、集団による無視をされる。

③軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする。

④ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。

⑤金品をたかられる。

⑥金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。

⑦嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。

⑧パソコンや携帯電話(スマートフォンを含む)で誹謗中傷や嫌なことをする。

⑨その他

※文部科学省「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」より

 

(2)関係者の責務や役割

①東根市教育委員会の責務

・学校におけるいじめの防止等のために、必要な措置を講ずる。

②学校の責務

・学校いじめ防止基本方針に基づき、保護者、地域住民、その他の関係者と連携を図り、学校全体でいじめの未然防止、早期発見及び事案対処に組織的に取り組む。また、学校いじめ防止基本方針について、事前に保護者、生徒に積極的に公開する。

・いじめ防止等の対策のための組織を置き、未然防止、早期発見・事案対処、学校いじめ防止基本方針に基づく取り組みの実施や具体的な年間計画の作成・実行・検証・修正などのPDCAサイクルを推進する。

・いじめられた生徒を徹底して守り通すとともに、早期解消のため組織的に適切・迅速に対処する。組織的対応により特定の教職員による抱え込みを防ぎ、複数の目による状況の見立てを行うようにする。

③教職員の基本認識

・「いじめは絶対に許されない」、「いじめは卑怯な行為である」、「いじめはどの子どもにも、どの学校にも起こりうる」との共通認識を持つ。

・「いじめの定義」の共通認識を持つ。

※当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているものをいう。

・「いじめの態様」の共通認識を持つ。

・担任等が一人で抱え込まず、組織的に対応する。

④保護者の責務

・子の教育について第一義的責任を有し、子に規範意識を養うように努める。

・子がいじめを受けた場合には、適切にいじめから保護する。

・学校等が講ずるいじめ防止等のための措置に協力するよう努める。

⑤市民の役割

・地域ぐるみで児童生徒を見守り、健やかに成長できる環境づくりに努める。

・いじめを発見した場合等には、学校、関係機関等に速やかに通報するよう努める。

  

 

3 いじめ未然防止のための取組

 

(1)教職員による指導について

①いじめの態様や特質、原因・背景、具体的な指導上の留意点などについて、校内研修や職員会議で周知を図り、平素から教職員全員の共通理解を図っていく。

②教師の主観はもとより、諸調査など客観的な資料をもとに生徒個々、集団の実態及びその変容を的確に把握し、その成長や向上にむけ組織的に指導し、いじめをはじめとする問題行動の未然防止を図っていく。

③生徒に対して、全校集会や学級活動などで校長や教職員が、日常的に望ましい生き方や人間関係のありかたについて触れ、「集団生活を通して自他ともに成長していこう」という雰囲気を学校全体に醸成していく。

④生徒が、他人から認められ優しくしたいという思いを持たせるような指導を積み重ね、些細なトラブルが深刻な事態にエスカレートしない集団を育てていく。

⑤常日頃から、生徒と教職員がいじめとは何かについて認識を共有する手段を講ずる。(何がいじめなのかを具体的に列挙して目につく場所に掲示したり、アンケート項目に明示したりする等)

⑥一人一人を大切にした分かりやすい授業づくりを進め、授業についていけない焦りや劣等感などが過度のストレスとならないようにする。

⑦教職員の言動が生徒を傷つけたり、他の生徒によるいじめを助長したりすることのないよう、指導の在り方に細心の注意を払う。

 

(2)生徒に培う力とその取組

①生徒に培う力

・「規律」(個人及び集団として、聞く姿勢・準備物、話し方等きちんとした心構え・態度で授業に取り組む等の生活習慣)

・「学力」(基礎的な知識・技能及び問題解決的な調べ方や学び方)

・「自己有用感」(相手からの好意的な反応や評価があって感じることのできる、他人の役に立ったという感情。)

②その取組

・「居場所づくり」

ア 正しい姿勢を身につけさせる、忘れ物をさせない生活指導。

イ 安心・安全に学校生活を送ることができると感じられる学級経営。

ウ 明確な指示、説明、発問など「わかる授業」を目指した授業改善・授業の見直し。

・「絆づくり」

 子ども自らが主体的に取り組む活動の中で、互いのことを認め合ったり、心のつながりを感じとったりしていくことができる場づくり(授業、特別活動、部活動等)

 (3)いじめ防止のための校内組織(法22条:必置)と具体的な取組

・いじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、下記関係者からなる「いじめの防止等の対策のための組織」を置く。

 ○いじめ防止対策委員会

 校長、教頭、教務主任、各学年主任、生徒指導主事、教育相談員、養護教諭

・当該組織は学校が組織的にいじめの問題に取り組むに当たって中核となる役割を担い、下記の具体的取組を行う。

○学校基本方針に基づく取組の実施や具体的な計画の作成・実行・検証・修正等

○いじめの相談・通報の窓口としての対応

○いじめの疑いに関する情報や生徒の問題行動等に係る情報の収集と記録、共有 ○いじめの疑いに係る情報があった時の緊急会議の開催、いじめの情報の迅速な共有、関係生徒への事実関係の聴取、指導や支援の体制・対応方針の決定と保護者との連携等の組織的対応

 

(4)生徒の主体的な取組

・生徒会によるいじめ撲滅の宣言や相談箱の設置等、生徒自らがいじめの問題について主体的に考え、いじめの防止を訴えるような取組を推進する。このような主体的な取組により、「いじめられる側にも問題がある」「大人に言いつける(チクる)ことは卑怯である」「いじめを見ているだけなら問題はない」等の考え方は誤りであることや、ささいな嫌がらせや意地悪であっても、しつこく繰り返したり、みんなで行ったりすることは、深刻な精神的危害になること等を学ばせる。

・教職員主導で生徒が「やらされている」活動に陥ったり、一部の役員等だけが行う活動に陥ったりすることのないよう、教職員は、全ての生徒がその意義を理解し、主体的に参加できる活動になっているかをチェックするとともに、陰で支える役割に徹するよう心がける。

 

(5)家庭・地域との連携

・学年、学級懇談会、家庭訪問、学校(学級)だより等を通じて「学校いじめ防止基本方針」について理解を得るとともに、地域や家庭に対して、いじめの問題の重要性の認識を広めながら緊密な連携協力体制を図っていく。

・学校、家庭がネットいじめを含めたいじめの問題について研修したり、協議したりする機会を設け、家庭と連携した対策を推進する。

 

東根市いじめ問題対策連絡協議会と具体的な取組

・いじめ防止等に関係する機関及び団体との連携を図るため、下記関係者からなる「いじめ問題対策連絡協議会」を置く。

○山形県中央児童相談所

○村山警察署生活安全課

○福祉課

○小中学校校長

○臨床心理士

○東根市教育委員会(教育長 管理課長 学校教育主幹 指導主事等)

 

   

4 早期発見の在り方

 

(1)基本的な考え方

①暴力を伴う等「目に見えるいじめ」を見逃さない。

②暴力を伴わない等「目に見えにくいいじめ」に気付く。

 

(2)見えにくいいじめを察知するための具体的な対応

・いじめは大人の目に付きにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装って行われたりするなど、大人が気付きにくく判断しにくい形で行われることを認識し、次のことに努める。

○日頃からの生徒の見守りや信頼関係を構築する。

○諸調査の結果をもとに個々の児童生徒及び学級集団の発達状況を客観的に把握し、トラブルやいじめの危険性を予測しながら指導する。

○児童生徒が示す小さな変化や危険信号を見逃さないようアンテナを高く保つ。

○教職員相互が積極的に生徒の情報交換、情報共有を行い、いじめを積極的に認知する。

・毎月の「心のアンケート」調査により、短期におけるいじめの全体像を把握しながら、定期的な教育相談・日常の観察による声かけを実施することにより、個別の状況把握に努める。

・生徒が日頃からいじめを訴えやすい学級経営や信頼関係の構築に努める。

・休み時間や放課後の活動の中などで生徒の様子に目を配ったり、個人ノートや生活ノート等、教職員と生徒の間で日常行われている日記等を活用して交友関係や悩みを把握したり、個人面談や家庭訪問の機会を活用する。

 

(3)相談窓口などの組織体制

・生徒や保護者の悩みを積極的に受け止められているか、定期的に体制を点検し、生徒及びその保護者、教職員が抵抗なくいじめに関して相談できる体制を整備する。

・「山形県教育センター」、「人権擁護委員会」、「東根市適応指導教室」などの校外の電話教育相談窓口も周知する。

・教育相談等で得た生徒の個人情報については、相談内容の解決にむけ慎重かつ適切に扱う。

・生徒の相談に対し、「大したことではない」「それはいじめではない」などと悩みを過小評価したり、相談を受けたにもかかわらず真摯に対応しなかったりすることは絶対にしない。

 

 

5 早期対応の在り方

 

(1)素早い事実確認・報告・相談

・発見・通報を受けた場合には、特定の教職員で抱え込まず、速やかに組織的に対応する。(学級(教科)担任・顧問等→学年主任・生徒指導担当→管理職)

・遊びや悪ふざけなど、いじめと疑われる行為を発見した場合、その場でその行為を止め、事実確認を行い、いじめた生徒へ適切に指導する。軽微な事案でも、関係職員へ連絡し、以後の見守りに生かす。

・生徒や保護者から「いじめではないか」との相談や訴えがあった場合には、真摯に傾聴する。また、ささいな兆候であっても、いじめの疑いがある行為には、早い段階から的確に関わりを持つ。その際、いじめられた児童生徒やいじめを知らせてきた生徒の安全を確保する。

・いじめる生徒に対して必要な教育上の指導を行っているにもかかわらず、その指導により十分な効果を上げることが困難な場合において、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものと認めるときは、いじめられている生徒を徹底して守り通すという観点から、ためらうことなく村山警察署と相談して対処する。なお、生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに村山警察署に通報し、適切に援助を求める。

 

(2)発見・通報を受けての組織的な対応

(いじめ防止等の対策のための校内組織(法22条)による対応)

・発見、通報を受けた教職員は躊躇なく、校内の「いじめの防止等の対策のための校内組織」に報告し組織的対応を図る。その後は、当該組織が中心となり、速やかに関係生徒から事情を聴き取るなどして、いじめの事実の有無の確認を行う。事実確認の結果は、校長が責任を持って東根市教育委員会に報告するとともに、被害・加害生徒の保護者にも連絡し、事後の対応に当たる。

 

(3)被害者への対応及びその保護者への支援

・いじめられた生徒から、事実関係の聴取を行う。その際、いじめられている生徒にも責任があるという考え方はあってはならず、「いじめられた生徒が悪いのではない」ことをはっきりと伝える等、自尊感情を高めるよう留意する。また、生徒の個人情報の取扱い等、プライバシーには十分に留意して以後の対応を行う。

・家庭訪問等により、その日のうちに迅速に保護者へ事実関係を伝える。いじめられた生徒や保護者に対し、徹底して守り通すことや秘密を守ることを伝え、できる限り不安を除去するとともに、事態の状況に応じて、複数の教職員の協力の下、当該生徒の見守りを行う等、いじめられた生徒の安全を確保する。

・いじめられた生徒にとって信頼できる人(親しい友人や教職員、家族、地域の人等)と連携し、いじめられた生徒に寄り添い支える体制をつくる。いじめられた生徒が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、必要に応じていじめた生徒を別室において指導する等、いじめられた生徒が落ち着いて教育を受けられる環境の確保を図る。状況に応じて、東根市教育委員会に相談し、心理や福祉等の専門家、教員・警察官経験者など外部専門家の協力を得る。

・いじめが解決したと思われる場合でも、継続して十分な注意を払い、折りに触れ必要な支援を行う。また、事実確認のための聴き取りやアンケート等により判明した情報は適切に保護者に提供する。

 

(4)加害生徒及びその保護者への対応

・教育的配慮の下、毅然とした態度で加害生徒を指導する。その際、謝罪や責任を形式的に問うことに主眼を置くのではなく、社会性の向上等、生徒の人格の成長に主眼を置いた指導を行う。

・いじめたとされる生徒からも事実関係の聴取を行い、いじめがあったことが確認された場合、複数の教職員が連携し、必要に応じて心理や福祉等の専門家、教員・警察官経験者など外部専門家の協力を得て、組織的に、いじめをやめさせ、ストレスの背景を理解し、適切に支援を行うことにより、その再発を防止する。また、事実関係を聴取したら、迅速に保護者に連絡し、事実に対する保護者の理解や納得を得た上、学校と保護者が連携して以後の対応を適切に行えるよう保護者の協力を求めるとともに、保護者に対する継続的な助言を行う。

・いじめた生徒への指導に当たっては、いじめは人格を傷つけ、生命、身体又は財産を脅かす行為であることを理解させ、自らの行為の責任を自覚させる。なお、いじめた児童生徒が抱える問題など、いじめの背景にも目を向け、当該生徒の安心・安全、健全な人格の発達に配慮する。児童生徒の個人情報の取扱い等、プライバシーには十分に留意して以後の対応を行っていく。いじめの状況に応じて、心理的な孤立感・疎外感を与えないよう一定の教育的配慮の下、特別の指導計画による指導のほか、警察との連携による措置も含め、毅然とした対応をする。成長支援の観点から、いじめた生徒が抱える問題を解決するための具体的な対応方針を定めるようにする。

・教育上必要があると認めるときは、学校教育法第11条の規定に基づき、適切に生徒に対して懲戒を加えることも検討する。ただし、いじめには様々な要因があることに鑑み、懲戒を加える際には、主観的な感情に任せて一方的に行うのではなく、教育的配慮に十分に留意し、いじめた生徒が自ら行為の悪質性を理解し、健全な人間関係を育むことができるよう成長を促す目的で行う。又、状況に応じて出席停止制度の活用について東根市教育委員会と協議する。いじめた生徒に対して出席停止の措置を作った場合には、出席停止の期間における学習の支援など、教育上必要な措置を講じ、当該生徒の立ち直りを支援する。

 

(5)集団へのはたらきかけ 

・いじめを見ていた生徒に対しても、傍観するその姿勢がいじめている生徒にとっては暗黙の支持と受け止められ、結果的にいじめを悪化・深刻化させることにつながることを理解させ、いじめをやめさせることはできなくても、教員や保護者、他の生徒に知らせることが必要であることを指導する。また、はやしたてるなど同調していた生徒に対しては、それらの行為はいじめに加担する行為であることを理解させ、いじめた生徒と同様に指導する。

・同調していた生徒はもちろん傍観していた生徒にも、自分の問題としてとらえさせるため、いじめられた側の苦しい気持ちを理解させたり、一人一人が具体的な行為についてどのように受けとめたらよいかを学級全体で考えさせたり、話し合わせたりしながら、正しいことに勇気をもって行動することができるように指導する。また、見て見ぬふりをすることは、いじめ行為に通じることをしっかりと理解させ、いじめは絶対に許されない行為であり、防止しようという態度を行き渡らせるように指導する。

 

(6)いじめの解消

 いじめは、単に謝罪をもって安易に解消とすることはできない。いじめが「解消している」状態について、文部科学省は、少なくとも次の2つの要件が満たされる必要があるとしている。また、これらの要件が満たされている場合であっても、必要に応じ、他の事案も勘案して判断するものと定義している。

2つの要件

 1つ、「いじめに係る行為が止んでいること」

 被害者に対する心理的または物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期間は、少なくとも3カ月を目安とする。ただし、いじめの被害の重大性等からさらに長期の期間が必要である判断される場合には、この目安に関わらず、市または学校いじめ防止対策委員会の判断により、より長期の期間を設定するものとする。教職員は、相当の期間が経過するまでは、被害・加害生徒の様子を含め状況を注視し、期間が経過した段階で判断を行う。行為が止んでいない場合は、改めて、相当の期間を設定して状況を注視する。

 2つ、「被害生徒が心身の苦痛を感じていないこと」

 いじめに係る行為が止んでいるかどうかを判断する時点において、被害生徒がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害生徒本人及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。

 

(7)ネットいじめへの対応 等

   ・ネット上の不適切な書き込み等については、被害の拡大を避けるため、直ちに削除する措置をとる。名誉毀損やプライバシーの侵害等があった場合、プロバイダに対して速やかに削除を求めるなど必要な措置を講じる。こうした措置をとるにあたり、東根市教育委員会の指導を仰ぐとともに、必要に応じて法務局又は地方法務局の協力を求める。なお、生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに村山警察署に通報し、適切に援助を求める。

・早期発見の観点から、ネットパトロール等を工夫することにより、ネット上のトラブルの早期発見に努める。

・パスワード付きサイトやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、携帯電話のメールを利用したいじめなどについては、大人の目には触れにくく発見しにくいため、校内における情報モラル教育を進めるとともに、保護者においても学年・学級懇談会、学校だより等で積極的に理解を求めていく。

  

 

6 教育的諸課題から配慮すべき生徒への対応

 

 学校として特に配慮が必要な生徒については、日常的に、当該生徒の特性を踏まえた適切な支援を行うとともに、保護者との連携、周囲の生徒に対する必要な指導を組織的に行う。

 

(1)発達障がいを含む、障がいのある生徒

 発達障がいを含む、障がいのある生徒が関わるいじめについては、教職員が個々の生徒の障がいの特性への理解を深めるとともに、個別の教育支援計画や個別の指導計画を活用した情報共有を行いつつ、当該生徒のニーズや特性、専門家の意見を踏まえた適切な指導及び必要な支援を行うことが必要である。

 特に、障がいの特性から自分がいじめられていると認識できない生徒もいることから、いじめの定義にとらわれず適切な指導が必要な場合がある。また、発達障がいの生徒が、相手の迷惑になることがわからなかったり、興味を引くために極端な行為を行ったりすることから、加害者になる可能性があることも忘れてはならない。

 指導の際の教職員の何気ない言動が、当該生徒にとって予想以上に強いストレスを感じる言動として受け取られる場合もある。校内研修や職員会議など、教職員全体で共通理解を深める場の設定も考慮していく。

 

(2)海外から帰国した生徒や外国人の生徒

 海外から帰国した生徒や外国人の生徒、国際結婚の保護者を持つなど外国につながる生徒は、言語や文化の違いから、学校での学びにおいて困難を抱える場合も多いことに留意し、それらの違いからいじめが行われないよう、教職員、生徒、保護者等の外国人生徒に対する理解を促進するとともに、学校全体で注意深く見守り、必要な支援を行う。

       当該生徒に対する支援を行うにあたっては、教師をはじめとする大人が当該生徒を理解し尊重するようにする。さらに、当該生徒に対する興味関心を持つ姿勢につなげ、集団として多くのことを学ぶきっかけとすることも大切である。

 

(3)性同一性障がいや性的指向・性自認に係る生徒

 性同一性障がいや性的指向・性自認について、教職員への正しい理解の促進や、学校として必要な対応について周知する。

 常日頃から生徒理解の視点を大切にし、様々な資料等(「性同一性障がいや性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細やかな対応等の実施について(教職員向け)」など)から正しい知識を習得したり、積極的に研修会等で情報収集したりすることにより、教師自ら正しい理解をすることが大切である。

 

 

7 重大事態への対処

 

(1)調査組織の設置(法28条①:必置)と調査の実施

・いじめにより、当該生徒の「生命、心身又は財産に重大な被害」が生じた疑いがあると認められた時、又、いじめにより、当該生徒が「相当の期間(年間30日を目安とする)学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認められた時、重大事態への対処、発生防止に資するため、東根市教育委員会の第三者委員会「いじめ防止対策等専門委員会」(仮称)による事実関係を明確にするための調査を受ける。

<重大事案と想定されるケース>

○生徒が自殺を図った場合

○身体に重大な傷害を負った場合

○金品等に重大な被害を被った場合

○精神性の疾患を発症した場合 等

<調査の目的>

・いじめの行為が、いつ、誰から行われ、どのような態様であったか、いじめを生んだ背景事情や生徒の人間関係にどのような問題があったか、学校・教職員がどのように対応したかなどの事実関係を網羅的に明確にする。

 

(2)重大事態の報告

・校長は当該調査に係る重大事態の事実関係、その他の必要な情報等について、素早く東根市教育委員会を通じて東根市長へ報告する。(法30条①)

 

(3)外部機関との連携 等

・重大事案に係る事実関係の調査、及び事後対応、発生防止等については、必要に応じ、東根市教育委員会、村山教育事務所「いじめ解決支援チーム」、村山警察署、児童相談所と連携を図りながら進めていく。

 

  

8 教育相談体制・生徒指導体制

 

(1)教育相談体制と活動計画

・「いじめ発見調査アンケート」(学校版・家庭版)の実施、それを受けた個人面談を通し、生徒の心の声を拾いあげ、いじめの問題の未然防止、早期発見、早期対応に努める。

・教育相談担当、学年主任、担任、養護教諭、県・市教育相談員、スクールカウンセラー等の連携により、教育相談体制を機能させる。

(2)生徒指導体制と活動計画

・生徒をいじめに向かわせないために、学校で取り組むべき課題を「規律」、「学力」、「自己有用感」ととらえ、きちんと授業に参加し、基礎的な学力を身につけ、認められているという実感を持った生徒を共通理解・組織的指導を通して育てていく。

・自分はかけがえのない存在であることや、他人の役に立った、他人から共感的に理解してもらったという実感がともなう活動になるよう、どの活動においても価値付けを行い指導する。

 

  

9 校内研修

 

(1)いじめの理解、組織的な対応、指導記録の生かし方等に関する研修

・いじめに係る研修を年間計画に位置づけ、学期に一度、「生徒指導堤要」(文部科学省)や「生徒指導リーフ」及び「生徒指導支援資料」(文部科学省 国立教育政策研究所)を資料とした、いじめを始めとする生徒指導上の諸問題等に関する校内研修を行い教職員の共通認識を図る。

・「居場所づくり・絆づくりを意図した授業改善」、「道徳の授業の充実」について研修を深め、「規律」「学力」「自己有用感」をもった児童生徒を育て、いじめ問題の未然防止に努める。

 

 

 10 学校評価

 

(1)いじめの問題への対応と評価の基本的な考え方

・学校評価において、その目的を踏まえて、いじめの問題を取り扱う。この際、いじめの有無やその多寡のみを評価するのではなく、日ごろからの生徒への理解、未然防止や早期発見、いじめが発生した際の問題を隠さず、いじめの実態把握や対応が促されるよう、生徒や地域の状況を十分踏まえた目標の設定や、目標に対する具体的な取組状況や達成状況を評価する。また、評価結果を踏まえてその改善に取り組んでいく。

 

(2)地域や家庭との連携

・学年、学級懇談会や学校だより等において、いじめに係る学校基本方針やその取組、学校評価の結果等について連絡し、いじめの問題の重要性の認識を広めるとともに、家庭や地域との緊密な連携協力を図る。

 

(3)校内におけるいじめの防止等に対するPDCAサイクル 等

・「いじめ防止のための組織」が策定した計画に基づき、いじめの問題の未然防止、早期発見、早期対応の取組を徹底し、その都度取組状況を生徒の視点で客観的に振り返り、改善を図っていく。

・学期末の職員会議において、いじめの問題への対応について成果と課題を確認しながら改善の方策を明確にし、全教職員で共通理解を図る。

 

 

 11 その他

 

(1)東根市いじめ問題対策連絡協議会

・いじめの防止等に関係する機関の連携を図るため、教育委員会、児童相談所、法務局又は地方法務局、村山警察署その他の関係者による会議に参加し、いじめの防止等に活用する。

 

(2)社会参画活動、縦割り活動による自己有用感、自己肯定感の育成

・地域行事やスポーツイベントへの積極的参加、縦割り兄弟学級による異年齢交流等を通し、生徒の自己有用感等を育成し、いじめの問題の未然防止に努める。

 

(3)校務の効率化 

・教職員が生徒と向き合い、いじめの防止等に適切に取り組んでいくことができるようにするため、一部の教職員に過重な負担がかからないように校務分掌を適正化し、組織的体制を整えるなど、校務の効率化を図る。

 

(4)いじめ防止基本方針の見直し

・この基本方針については、校長の指導の下、本校の実態に応じて適宜見直しを図り、いじめ防止対策委員会で職員の同意を得ることとする。

 

 

令和6年4月12日